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SAKURA Internet Inc.

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FoursquareとAmazonEC2

連休直前の4月27日、さくらインターネット社内の技術系でない部門スタッフ向けにクラウド・コンピューティングとは何かというテーマのプレゼンを行いました。内容の大半はさくらのサービスとAmazonEC2との比較だったのですが、その中でFoursquareというサービスを取り上げました。

実は私(鷲北)は持ち歩くタイプのコンピュータが嫌いです。理由はきちんとしたキーボードが付いていないとうまく使えないからです。携帯電話はもちろん持っていますが電話としてしか使っておらず、メールも碌に打ったことがないような状態が13年続いていました。ところが4月にdocomoがAndroid携帯を出すというので、ふらりと寄ったヨドバシで買ってしまい、せっかく買ったのだからとアプリを入れて遊び始めました。そうして利用し始めたサービスがFoursquareです。

Foursquareは簡単に言うと、GPS搭載携帯から位置情報を送り、地図上にVenueと呼ばれるマーカを置いていくものです。たとえば食事に行ったレストランや買い物をした店をマークするのですが、既存のマーカに足跡を残したり、未登録の地点であれば新規に登録することができます。他のFoursquareユーザの足跡もチェックでき、どれぐらいの人が訪れているかも分ります。足跡を残すと自動的にツイートする機能もあり、以前からフォロワーの間でも流行っていたので、スマートフォンを手に入れたらぜひ遊んでみようと思っていたのでした。

4月上旬、社内プレゼンでFoursquareを取り上げようと思ったとき、事前打ち合わせでは「Foursquareを知っている社員はおそらくゼロだから、もっと知名度の高いサービスを取り上げては?」と突っ込まれました。確かにそうだなと思ったのですが、4月中旬に「Yahoo!がFoursquareの買収を検討している」というニュースが流れ、やっぱり取り上げることにしました。実はFoursquareはアメリカでは大きな注目を集めています。飲食店とのタイアップによるキャンペーンも行われたり、History Channelが歴史トリビアにアクセスできるようFoursquareを利用したり、色々な使われ方をしているのです。そんな将来性にYahoo!も注目しているよ、ということです。そもそも今回のプレゼンでFoursquareを取り上げたのは、FoursquareのサイトがAmazonEC2を利用しているようだったからです。FoursquareのトップページのIPアドレスを逆引きすると、Amazon所有のIPアドレス帯であることがすぐに分ります。社内プレゼンでは技術の話は避けたため、「こういう面白いサービスもEC2を使って作られているんだよ」という紹介だけで済ませました。

さてそんなFoursquareですが、連休中の5/4、突然ダウンしてアクセスできなくなりました。これまでも、ときどきアクセスが滞ってしまうトラブルは体験していたのですが、大抵10分程度で復帰していたので、数時間たっても接続できない今回のトラブルは珍しく思えました。Twitterを眺めていると「Foursquareダウン、原因はAmazonEC2の電源障害」というツイートを見つけました。やっぱりFoursquareはEC2を使ってたんだなあ、と確認することができました。

AmazonEC2の障害情報はこのページで読めます。それによると

  • 停電は2度発生した
  • 電源の供給源を切り替える作業中、UPSのバッテリーへのスイッチが働かずダウン
  • UPSをいったんバイパスして発電機から給電、UPSの交換を開始
  • 多くのインスタンスはリブートしただけで済んだが、一部インスタンスは再起動に時間がかかった
  • 電源ダウンから半分のインスタンス復旧に約1時間20分、すべて復旧するのに4時間ほどかかった
  • 2度目の停電は、上記UPSの交換作業中に発生した
  • 作業ミスにより発電機からの給電を止めてしまった。1度目と同じラック群が停電
  • 半分のインスタンス復旧に約1時間30分、すべて復旧するのに2時間20分ほどかかった。
  • UPSの交換は最初のUPSダウンから35時間後に交換完了した

ということのようです。どうやらこの電源トラブルに、Foursquareは巻き込まれてしまったようです。

今回のトラブルで思ったのは、AmazonEC2にも分散されていない個所が意外に多いんだなということでした。サーバ群がダウンしたらインスタンスを別のラックへ移動させてもいいんじゃないかと思うのですが、これを実現するにはネットワークの設計が大変そうです。これができれば2度目の停電はそもそもなかったと思うので、どうやったら実装できるかなと想像を巡らせてみるのも面白いかもしれません。が、今のところAmazonは普通の対応をしているわけで、その辺は従来のデータセンタ運用と変わらないんだなと確認することができました。

一方Foursquareは、停電トラブルに対して「サーバ復帰をひたすら待つ」という対処だったようで、もうちょっと冗長に組んでもいいんじゃないかと思いました。ただアメリカのこの種のインターネットサービスは日本から見ると非常にゆるい感じで運営されているようなので、これでもいいんでしょうね。

というわけで、もしiPhone等のスマートフォンをお持ちの方がいらっしゃいましたら、Foursquareはオススメです。簡単に遊べますのでぜひどうぞ。


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