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チームの絆を深めるための総当り1on1の実施と1on1のときに気をつけていること

さくらインターネット研究所のまつもとりーです。

まずいきなりですが、最初にタイトルにあるように1on1と書いていますが、一般的に1on1というと、1on1をする側とされる側のようなイメージがあるようにも感じています。ですので、ここでいう1on1はあくまでお話する二人が対等でありたいという意図を込めて、研究所では例えば「研究相談会」などとして、する・されるのような立場があまりないようにしています。

いきなり脱線しましたが、ここから本題です。コロナ禍や日常的なリモートワークの影響の中、チームや組織でのコミュニケーションをどう改善するかという取り組みが各社沢山されてきていると思います。さくらインターネット研究所でも、夕方にみんなで集まって雑談したり、もくもく作業をするもくもく会をしたり、定期的な所謂1on1を設定したり、コロナの状況が一時改善したときは、たまにオフィスに集まってリアルにコミュニケーションをとったりしてきました。

また、チームの中でモチベーションが上がらない場合、自分の制御下で会話の場に入らず、コミュニケーションをとらない選択を簡単にできることから、どんどん気持ちが乗らない状況に陥っていくこともあります。そういった状況を避けるために、自分やメンバー間でそういう雰囲気を感じたら、それぞれが任意で会話をしたりしながら、チームのモチベーションを維持してきました。

一方で、それらの取り組みでなかなか改善できていなかった課題を整理してみると、

  1. オープンな場では話にくいような悩みについて相談しにくい
  2. 同僚、あるいは、ある種の仲間として、対等に信頼関係のあるなかでクローズドにざっくばらんに話ができない
  3. 1や2の話は自分の問題であるように矮小化して考えることがあり、同僚に気を使って誘いにくい

といったような状況がありえます。特に、3のような状況が複数のメンバーで生じた場合、任意に気づいた人が声をかけるといったことも起きにくくなり、チーム全体として少しずつストレスを抱え、弱まっていってしましいます。相談や悩みというのは、何でも上司と話たいわけではなく、当然同じ目線や同じ立場で話がしたいこともあるからです。

また、こういった話はリアルにおいてははからずも、昼食にいったり、トイレや廊下でばったり会ってクローズドな場所で軽く話をする中で解決されていくことでもあり、そのようなコミュニケーションの中で信頼関係が生まれ、連鎖的にそういう話ができるようになっていきます。しかし、リモートの状況では偶発性はあまり期待できず、それを自らの意思や行動で行う必要があります。そういう個人的な悩みやある種プライベートの悩みを抱えている中で、リモート環境で自発的にそういう場を設けようとしても、遠慮だったりとか、リモートであるからこそ相手が見えないことによって、より気を使ってしまったりして、そのまま自分の中で悩みを抱えてしまい、信頼関係も構築できずにストレスが溜まっていってしまうということがありました。

これらの課題を解決するために、頻度はお任せですが、大体1週間に1回30分程度で、チームメンバーそれぞれが総当りで1on1を実施するようにしています。この施策においては、1on1する側される側という考え方ではなく、本当の意味で言葉どおりの1on1を対等にそれぞれのメンバー間で2人だけでお話をする機会を設けました。最初は、こういう機会を定期的に設けるのは逆に大変なのではないかと思っていましたが、やり始めるとやはりそれぞれ1週間、あるいは、2週間に30分ぐらいは2人で話したい悩みやプライベートなこと、相談事が出てきました。さらに、この1on1を続ける中でこれまで話にくかったり、気を使っていたりした関係から徐々に信頼関係が構築され、一人で悩み続けるようなサイクルに陥らないようになってきたように思います。その効果もあって、今ではチームのほぼ全員が誰かしらと相互に週1で1on1を行ったりしています。

このような1on1は自分が気をつけていることとしては、

  1. もとめられていないのにアドバイスをしない
  2. 対等に話す・聞くを時間や内容の観点で意識する
  3. 業務と関係ない話や自分の弱みをどんどん話す

この3つを特に意識しています。結局、オープンには話にくい悩みや自分の弱みを、この人となら相談できるという信頼関係を構築して、働き方全体としてストレスなく前向きに取り組んでいけるようにし、仕事のやりがいや成果を高めていくことが目的です。このような目的を達成するためのコンセプトとして、僕は勝手にチームの「絆」を深めると言っています。そう考えると、1on1の中で業務に関係ないことを話してはいけないとか、そういうのは一切設定していませんし、むしろ、自分の生活全体で話たいことがあればそれをどんどん話つつ、聞いている側は真剣に聞くというのを心がけています。

実際に、昨年末に集まった研究所合宿の中で、研究所の取り組みの振り返りや所謂KPTをみんなで行ったのですが、この総当り1on1がほぼ全員良かったと振り返っていました。

もちろん、みんながもっとオープンな場で話をできるようにすれば良い、その文化を築けばよいという考え方もありますが、その文化を作るためのプロセスとしてもこの総当り1on1のような取り組みが大事だと考えています。各メンバーが、こういう話を気軽にしても良かったんだ、とか、この話をあの人に話してもちゃんと快く聞いてくれるんだ、という体験をそれぞれが獲得していくことで、少しずつチームとしての心理的安全性が高まり、このチームであればオープンな場でも色々なことを言って良くて、ちゃんと議論ができるんだと実感できるようになっていくものだと考えています。すなわち、心理的安全性は、何を話しても肯定してくれる、否定しない、という意味ではなく、こういったプロセスから信頼関係を経て、意見や批評も含めて、言いたいことを言い合っても大丈夫なメンバーでありチームなんだと心身共に体験し理解することなのだと理解しています。

本エントリでは、さくらインターネット研究所のコロナ禍とリモートワークが当たり前の働き方になった中で、以下にリモートワークのメリットを活かしつつ、チームの心理的安全性や働きやすさ・働きがいを高めるための施策について紹介しました。ぜひ、同じような課題を抱えているチームがありましたら、参考にして頂けると幸いです。