WasmCon North America 2025でセルフホストWasmランタイムに関して発表しました

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研究所の中田 (@chiku_wait)です。

2025年11月にアメリカのアトランタで開催されたWasmCon North America 2025にて、自身の研究の一つを発表しました。

WasmConとは

WasmConは、クラウドネイティブ技術に関する最大の技術カンファレンスであるKubeCon + CloudNativeCon North Americaの併設イベントで、WebAssembly(Wasm)に関する内容に特化しています。Wasmの標準化やWasm関連のOSS、Wasmに関するハックなど多くの有用な情報や最新動向が共有されるイベントです。WasmConは、KubeConや他の併設イベントと同様に、プロポーザルの質やオリジナリティ、エコシステムへの貢献などの項目で内容をレビューされ、発表の採録・不採録が決定されます。

発表内容

私が研究開発用に実装している、セルフホストに特化したWasmランタイム(https://github.com/oss-fun/chiwawa)について発表をしました。

セルフホストWasmランタイムは、軽量でコンパクトなWasmランタイムをWasmにコンパイルし、任意のWasmランタイム上で実行することで互換レイヤーとして様々な機能拡張や検証に活用できるものです。元々はランタイム中立なライブマイグレーションのために実装していましたが、今回の発表ではより汎用的な機能拡張機構としてユースケースを検討し、その有用性を議論するものとなっています。

発表の様子 (Photo by @amsy810氏)

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おわりに

自身の研究について、学術コミュニティだけではなく業界のカンファレンスで発表することは、実用的なソフトウェアという観点で自身の研究を見直すきっかけとなりました。発表者や運営メンバーは、Wasm/WASIの標準化に関わっている方やWasm向けOSSの作者なども多く、ソフトウェアとしての実用性や有用性を議論できるのは非常に有意義でエキサイティングでした。また、偶然にも自身の研究で大いに参考としている研究のPhD学生が発表しており、Wasm関連の研究をしている者同士で研究に関して深い議論をするなど、思わぬ出会いもありました。

今後も学術的な新規性と、ソフトウェアとしての有用性やOSSコミュニティへの貢献を両立する研究開発を目指していきます。

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著者

中田 裕貴
中田 裕貴
研究員

2022年4月新卒入社。クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングのためのシステムソフトウェアに関する研究開発に従事。

学部・修士学生時代はシステム情報科学を専攻し、オペレーティングシステムや仮想化技術などのシステムソフトウェアや分散システムに関する研究に従事した。また、研究と並行して学内プライベートクラウドやオンライン会議サービス、BLEビーコンを活用したロケーションサービスなどの開発やプロダクトマネジメント、サービスデザインに従事した。

2024年4月より公立はこだて未来大学 大学院システム情報科学研究科 博士(後期)課程へ進学(社会人学生)。