こんにちは、さくらインターネット研究所の菊地(@kikuzokikuzo)です。
さくらインターネット研究所では、NECさんと共同で、データ流通実証実験を2018年3月より実施しています。この度、開始後1年ということで、中間報告書を作成いたしましたので公開いたします。
データ流通実証実験とは何なのか、どのような内容なのか、また1年やってきた結果はどのようなものであるのかについては、中間報告書本文をぜひご覧いただきたいと思いますが、以下に簡単に要約しておきます。
データ流通実証実験とは?
スマートシティ・スマートビルディングの実現、またそれらにとどまらず企業や個人の持つデータを流通させることで、より便利な社会やシステムの実現、新たな価値の創造につながるように、データ流通のための場を作り、データのやり取りを盛んにしていくことを目的とした実証実験です。
データの流通って具体的にはどうやるの?
今回の実証実験では、データ共有・データ流通のための基盤ソフトウェアであるFIWARE(ファイウェア)を用いています。これはスマートシティやスマートシティなどの実現のために用いられる、オープンなスタンダード(もちろんOSS)です。具体的な通信プロトコルとしてはNGSI(Next Generation Service Interface)を用いています。
(↑これら2枚のスライドは、中間報告書に含まれるものではなく、別の説明資料から持ってきたものです。)
データを公開したい人、あるいは公開されているデータを使いたい人は、NGSIに従ってデータをPUT/GETするコードを書いて、今実証実験で公開されている基盤に接続すればデータをやり取りできる、ということになります。
コードを書くのが難しいという人向けに、公開されているデータを使いたいだけであれば、GUIベースで部品を組み合わせてデータ閲覧ビューを作成できるWirecloudというツールもあります。
どんなデータが公開されているの?
1年経過時の現在では、福岡市が公開してくれているオープンデータが中心となっております。その他、自分たちもやってみようということで、さくらインターネットのオフィスの気温なども。ここは今後、少なくともさくらインターネットのデータは増やしていきたいと思っています。
実証実験1年間でどんなことをやったの?
データ流通は、データを提供する人(企業)とデータを利用する人のエコシステムが形成されなければ実現されません。そのため、データ提供者、データ利用者双方に対する働きかけ(施策)を実施しました。ホームページ作ったりイベントやったり。このページ自体もその一環とも言えます。
やってみてどうだった?
本音として、データ流通は簡単ではないということがわかった、というところです。やはり、他の人のデータは見てみたいけど自分のデータは出したくない、って思いがちですよね。その障壁を超えていくためにはどうしたらいいか、ということがわかってきた(かも)ということが、成果かなと考えています。
もう一つ、データはGoogleなど所謂GAFAが独占してる、って思われがちですが、GAFAが集められないデータというのが実は世の中には確実に存在していて、そのお宝が人目に触れるのを待っている、ということが分かったというのも大きい成果かなと思っています。
データはGAFAに支配されててもう終わり、ということでは全然ないです。データをすべてクラウドに吸い上げてそこで全てが決定される、ということではなくて、ローカルなデータをローカルで使う、地産地消的な流れというのはあり得る将来だろうと思います。これはさくらインターネット研究所が提唱する分散型のビジョンにも合致するところだと思っています。
ただ、そういうお宝データを使うためには、ツール(手段)としてまだあまり馴染みがないFIWARE/NGSIを使っていく必要があったりなので、その啓蒙がまだまだ必要だなあ、というところです。そのあたりを見据えて、裾野を広げる活動を今後も展開していきたいと考えています。
ぜひ、報告書本編も御覧ください。また、今年度のデータ流通実証実験の活動にもご注目(ぜひご参加)下さい。