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年別アーカイブ: 2010
クラウドコンピューティングEXPO講演してきました
11月10日~12日の3日間、幕張メッセにおいて第2回クラウドコンピューティングEXPOが開催されました。さくらインターネットは来年完成予定の石狩データセンターを模したブースを出し、1時間程度のセッションを毎日3回行いました。このうち11月11日、13時からのセッションに、株式会社はてなのCTO田中さんと、サービス開発部の倉井さんをゲストにお招きし、さくらの仮想サーバサービスや新データセンターに対する疑問質問をぶつけていただきました。
それほど大きくないブースに、立ち見が出るほどの大変たくさんの方々にお越しいただき、大変感謝しております。田中さん、倉井さんからは、弊社を長く使っていただいているお客様ならではの視点で様々な意見を頂戴しました。ありがとうございました。
また11月12日、13時からのセッションでは、「2012年、近未来のクラウド・コンピューティング」と題して当研究所の松本が講演を行いました。
※講演資料の抜粋: 経済産業省の統計では企業における情報システムへの取り組みのおよそ半分が、新規システム構築とシステム再構築(グラフ左)になっており、定常的な情報システムの改善・改修が行われていることが見てとれます。このような環境下でクラウド・コンピューティングによるシステム構築等の短縮は、極めて経済的な効果が高いと予測されています。また企業におけるSaaS(Software as a Service)利用率の伸びから、企業外部サービスやシステムを利用することへの抵抗感は薄れてきていることも読み取れます。ここから判断する未来像としては、パブリック・クラウドに代表される企業の外部にシステムが存在する状況も着実に拡がってくることと予測されています。
また同様に別統計では、「企業が年間一度以上システム不具合に見舞われた割合」により、企業が運用管理する情報システムには、常にシステム障害と対峙せざるを得ない状況が見えてきます。とくに「企業において年間に重大な不具合に見舞われた割合」等の数字も一割付近で推移しており、決して無視できない数字になってきています。システムの構築から運用・管理までの円滑な情報システムへの取り組みが、企業においては常に求められており、それを補助するサービスや機能が、クラウド・コンピューティング環境においては、求められいると考えられます。
近未来のクラウド・コンピューティング社会では、常に情報システムの安定運用と、必要に応じた新たな機能・サービスの追加を迅速に行ってゆける基盤整備が欠かせません。
クラウドEXPOの他のセッションも録画でご覧いただけます。以下のサイトからどうぞ。
VYATTAでつなぐインター・クラウド接続 (3)
さくらインターネット研究所 松本です。今回はクラウド中でVyattaを使ったHTTP DoS(サービス妨害)対策について解説してきます。
クラウド・コンピューティング環境においても、Webサービスを外部公開する場合、DoS(Denial of Service Attack: サービス妨害)の脅威に晒されることになります。ここでは仮想ルーターとして動作させたVyatta上でDoS対策設定を行い、背後にあるWebサーバーを保護しています。この設定では閾値として20秒間に99回以上同一IPアドレスからのアクセスを越えた場合に、以降のパケットを破棄するという設定にしています。これにより、DoS(サービス妨害)に代表されるような、同一ホストから連続的にアクセスが行われるようなケースに対応するようになっています。
ロボットがつなぐ遠隔地コミュニケーション(1)
さくらインターネット研究所 松本です。今回はネットワークを介した遠隔地をつなぐコミュニケーションの研究をご紹介いたします。
北米地域ではテレプレゼンス(Telepresence)と呼ばれる技術で、最近ではロボットを用いたRobotics Telepresenceというマーケットも形成さつつあります。ロボットを介して遠隔地にある事業所で、あたかも自分がそこに実在しているようにコミュニケーションを取ることができ、電話やチャットよりも機動的に振る舞うことができるのが大きな違いです。当研究所でも、昨今のクラウド・コンピューティング化にともない、遠隔地とのより密度の高いコミュニケーションの必要性に着目し研究を開始しました。
第21回高専プロコンのご紹介
さる10月16日~17日、高等専門学校連合会主催の「全国高等専門学校第21回プログラミングコンテスト」に、自由部門審査員として参加してきましたので、そのご紹介と報告を致します。
高専(高等専門学校)というと、最近ではNHK等でしきりに放送されるロボコンが有名ですが、ソフトウェアのコンテストも開催されており、当高専プロコンは今年21回目を数えるロボコン同様に歴史ある大会です。当社社長の田中は舞鶴高専出身で、さくらインターネットの最初のサービスは校内のサーバで構築されたという縁もあり、プロコンへのスポンサーシップに加え、私(鷲北)が審査員として参加させていただきました。
仮想化でつくるスケーラブルSMPシステム(1)
さくらインターネット研究所 松本です。今回は仮想化技術を使ったスケーラブルSMPシステム構築についてご紹介させて頂きます。
仮想化では一つの物理ハードウェアを複数の仮想マシンとして利用することが一般的ですが、今回は複数の物理ハードウェアを一つの仮想マシンとして動作させています。
SMPとはSymmetric Multiprocessingの略称であり、CPUのマルチコア化によりLinux等でも一般的に利用され、マルチコア・マルチスレッドに対応するプログラミングも日々増加しています。今回の実験では、仮想的にSMP化を行いスケールアップしたハードウェア環境におけるマルチコア・マルチスレッド対応プログラムの性能評価と今後の可能性について検証を目指しています。
Infinibandで変わるデータセンター内通信(1)
Infinibandは2000年にInfiniBand Trade Associationにより標準化が行われ、現在10Gbpsから40Gbpsの帯域を持つインターフェイス規格として実用段階あります。数多くのスーパーコンピューター・システムで用いられた実績があり、関連するオープンソース開発組織にOpenFabrics Allianceなどが存在します。昨今のこのInfiniband製品の広帯域化と価格下落が著しく、サーバーやストレージ関連業界の中でも注目が集まり、先日国内でもInfiniband DAY[01]というイベントも開催されたばかりです。
日本VYATTAユーザー会ミーティングのご報告
さくらインターネット研究所 松本です。今回は2010年9月30日に開催された日本Vyattaユーザー会にて講演を行いましたのでご報告いたします。
このミーティングにはVyatta社 Principal Engineer, Stephen Hemminger氏も米国本社よりお越しを頂き、日本のVyattaユーザーとの最初の対話をされました。ミーティングに参加される方がの職種も様々な会社のネットワーク・エンジニアからシステム・インテグレーターの方にお集まりを頂き、活発が議論や意見交換が行われていました。
ミーティングでは「ソフトルーターの概要と今後の展望」「Vyatta技術詳解」「クラウドネットワークの根幹を変える仮想ルータソリューション」「ISPにおけるVyattaの価値と評価」と題されたプレゼンテーションが行われ、私もそのひとつを担当させて頂きました。当日はたいへん足元の悪いなかにも係らず参加登録数では100名を越える方からのご参加を頂いておりました。ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。内容がお役に立ちましたら幸いです。
当日資料:「クラウドネットワークの根幹を変える仮想ルータソリューション」(PDF 2.68MB)