当ブログをご覧の皆様こんにちは。さくらインターネット研究所の大久保です。
JANOGというイベントを皆様ご存知でしょうか?
国内のインターネットを支える運用者らが集まる団体です。
半年に一回オフラインのミーティングが開かれており、先日(2012/7/4~7/6)岡山県倉敷市にてJANOG30が開催されました。
(JANOG発足からちょうど15周年にあたります)
▽ JANOG30 Webページ
http://www.janog.gr.jp/meeting/janog30/
私の方では、スタッフ(会場運営委員)としてミーティングの準備に携わり、会場ネットワークの構築を担当させていただきましたので、その内容をご紹介しようと思います。
JANOG30会場ネットワークの概要
まずはネットワークの全体像をご覧ください。
注:この画像は JANOG30 のウェブサイトから引用させていただいております。
バックボーンとなるインターネット接続は、JANOG30のホストである倉敷ケーブルテレビさんに提供いただきました。倉敷ケーブルテレビさんのデータセンターからダークファイバでWDM装置を介して1Gbpsの回線を会場に直接引き込まれました。
その配下に、我々ミーティングスタッフが構築を行った会場ネットワークが広がります。JANOG30では、参加者向けにIPv4プライベート/IPv6グローバルのデュアルスタックのネットワークを標準提供しました。それに加え、実験用ネットワークとして4rdとLISPの環境を準備しました。そちらについては後程詳しくご紹介します。
参加者の方は、無線LANのSSIDを指定することで、それぞれのネットワークに接続できるようにしました。
SSID | 説明 |
---|---|
janog30 | 通常のインターネット接続 (802.11b/g) |
janog30-a | 通常のインターネット接続 (802.11a) |
janog30-4rd-fnsc | 4rd環境:古河ネットワークソリューション株式会社様CE (802.11a/b/g) |
janog30-4rd-seil | 4rd環境:株式会社インターネットイニシアティブ様SEIL (802.11a/b/g) |
janog30-4rd-ipi | 4rd環境:IP Infusion Japan 合同会社様CE (802.11a/b/g) |
janog30-lisp | LISP環境 (802.11a/b/g) |
会場ネットワークの基本設計
今回のネットワークの構築を進めるにあたって難しかった点は、
- 予算が0である。必要な機材は全て知り合いのメーカさん等に声をかけて借りなければならない。
- 構成がFIXするのに時間がかかる。
といった事情がありました。
こういった状況でも便利になるのが仮想化技術です。
今回は、ネットワークとサーバを仮想化することで、物理トポロジと論理トポロジを完全に分離することにしました。会場全域に共通のVLANを通したL2網を構築し、そのエッジに無線APやルータ等を配置していきます。以下は、物理機器の接続を表した図ですが、青枠で囲った部分がその土台となるL2スイッチ群です。
また、DNSサーバや監視サーバ等、必要なインフラ系サーバも、ひとまず2台のVMware ESXiのホストサーバを用意し、必要に応じて仮想サーバを立てることとしました。こうすることにより、必要な物理機器は早期に調達を始めることができ、その上に載せる論理構成は後からゆっくりと検討することができました。
次回へ続く
次回は、無線LANの設計と標準ネットワークの収容に利用したルータ(Vyatta)についてご紹介したいと思います。