第 17 回 インターネットと運用技術シンポジウム (IOTS 2024)で「透過型SMTPプロキシ」に関する研究成果の発表と受賞

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私は暑がりなので、冬でもタンクトップになることがあるのですが、子供の登校時にタンクトップだったことを知った妻が「いつか通報されるよ!」って最近警告されたさくらインターネット研究所の小田(@linyows)です。こんにちは。

2024年12月5日と6日に東北大学にて、第 17 回 インターネットと運用技術シンポジウム (IOTS 2024)が開催されました。私は、「メール送信サーバの集約における透過型 SMTP プロキシの定量評価」というタイトルの研究報告を行ってきました。そして、ありがたいことにIOTS 2024の発表論文のなかで最も優秀な論文に与えられる優秀論文賞をいただきました。では、発表内容を簡単にご紹介します。

メール送信サーバの集約における透過型SMTPプロキシの定量評価

さくらインターネットでは、高集積マルチテナント型の共有メールホスティングを運用しています。一般的に共有メールホスティングでは運用効率やいくつかの理由などからメールの送信サーバを集約することがあります。サーバ集約によって輻輳が発生するとキューが伸長し、集約されたテナント間に遅延影響が波及する課題があります。私たちは、透過型SMTPプロキシ(Warp)を開発しこの課題解決を試みています(九州大学と岡山大学とさくらインターネットの共同研究)。

本発表では、提案手法の透過型SMTPプロキシと従来手法のメールリレーにおいて、比較実験から得られた定量的評価について説明しました。透過型SMTPプロキシは、従来手法の課題を解決する提案になりますが、実際の送信を想定をした実験を行うことで、透過型SMTPプロキシの有用性を示すのと同時に次の課題になりえる事象を発見したことを示しました。

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レイヤーの異なるソフトウェアを用いた比較実験という性質を、20分という限られた時間で正しく伝えるのは難しく、発表後は(私の説明不足に対する)質問を多くいただきました。研究をより良くしていく上でとても参考になりました。また、透過SMTPプロキシを悪用しスパム送信に利用できるという視点もいただき、今後の研究に非常に役立つディスカッションも出来ました。

論文

情報学広場:情報処理学会電子図書館
情報学広場 情報処理学会電子図書館
iconhttp://id.nii.ac.jp/1001/00241184/
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発表資料

以下は、発表で使用した資料になります。

優秀論文賞

頂いた賞状です(壇上で賞状で受け取るのは何年ぶりだろうか)。

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感想

今回、私は初めての論文執筆で、共著者の嶋吉先生や笠原先生にたくさんかつ丁寧にフィードバックをいただき、感謝しかありません(もちろん、研究所のみなさんも!)。その結果、優勝論文賞をいただくことができ、研究に対するモチベーションが高まりました。今後は、Warpの実運用を目指して、機能追加のための設計等を議論していく予定です。ご期待ください。

IOTS 2024は東北大学での開催で、私は人生初の仙台でした。牛タンはもちろん、海の幸が非常においしく、またプライベートで訪れたいなと思ったのでした。

著者

小田 知央
小田 知央
研究員研究開発エンジニア

2023年11月入社。UIデザイナ、フロントエンドからバックエンド、サーバ構築、システム設計からエンジニアリングマネージメントなどの多様な経験を生かして、研究開発に携わる。また、分散システムでのメールの研究を行っている。クラウドやホスティングにおける不正利用対策に興味がある。福岡でGoやTypeScriptのコミュニティを主催している。