研究所の大井です。
先日、ストレージサーバのテスト機用のディスクとして、Intel製40GB SSDを複数枚購入しました。手元に到着後はサーバ1台ごとに1つずつ搭載する予定でしたが、全部箱から出して広げてみたところ、「このSSD4台をRAID0でストライピングしたらどうなるだろう?」という素朴な疑問が湧いてきました。そこで、予定していたサーバへの実際の取り付けの前に、この構成で簡単にディスクベンチマークを試してみましたので結果を報告したいと思います。
1. 使用したSSD
今回購入したIntel社製のSSDについて紹介したいと思います。IntelのSATAインタフェース搭載のSSD製品ラインは、以下の4つがあります。
- X25-E Extremeシリーズ
サーバ・ストレージ・ワークステーション向け - X25-M Mainstream(2.5インチ), X18-M Mainstream(1.8インチ)シリーズ
ノートブック・デスクトップ向け - X25-V Valueシリーズ
ネットブック向け - Solid-State Drive 310シリーズ(mSATAインタフェース)
組み込み機器向け
公称スペックを見る限りではリストの上ほど高性能で高信頼、そして高価なラインとなっています。そのうち研究所で入手したものは一般的なSATAインタフェース搭載モデルの中では一番安価なValueシリーズです。これを研究所では一般的な小売店で1台8000円弱で入手しました。1GBあたりの単価は200円程度です。
今回入手したValueシリーズの詳細と、公表されているカタログスペックは以下の通りです。
製品名 | Intel X25-V Value SATA SSD 40GB | |
型番 | SSDSA2MP040G2 | |
容量 | 40GB | |
各種カタログ値 | 帯域幅 | シーケンシャルリード: 170 MB/s以上 |
シーケンシャルライト: 35 MB/s以上 | ||
レイテンシ | リード: 65マイクロ秒 | |
ライト: 110マイクロ秒 | ||
IOPS | ランダム4KBリード: 25,000IOPS以上 | |
ランダム4KBライト: 2,500IOPS以上 | ||
平均故障間隔(MTBF) | 120万時間(約137年) | |
消費電力 | アクティブ時: 150mW | |
アイドル時: 75mW |
このように、低価格な製品でありながら、高速なI/Oと低消費電力、そして長寿命といったSSDの特性が出ているのがわかります。また、上記の項目にはありませんが、小さくて軽く、稼働時でもほとんど熱は発せず無音、というのも優れた特徴です。
2. テストの概要
以下の環境でこのディスク4台を使用しRAID0を構成しました。
- RAIDカード: Adaptec RAID 1430SA(インタフェース: PCI Express x4, 対応RAIDレベル: 0、1、10、JBOD)
- CPU: Intel Xeon 3060
- メモリ: 8GB
この機材のブート用HDDに、Gnome環境込みのFedora14をインストールしました。
テストにはGnome付属のツール「Disk Utility」を使用しました。これはディスクのフォーマットやパーティション作成をGUI環境で行えるものですが、機能のひとつとして低レベルでのI/O性能の計測ができる簡単なベンチマークテストがあります。これならばファイルシステムの性能に依存せずにデバイスが持つ生の性能値が分かりますし、計測結果もすぐにグラフとして表示されるため便利です。
3. テストの結果
テスト結果のグラフを以下に示します。
このように、全ての読み書き位置において
- リード: 640MB/s
- ライト: 160MB/s
という結果が出ました。また、レイテンシのばらつきがほとんどないところも特徴的です。
なお、WesternDigital社製の1TB HDDでベンチマークした結果は以下の通りです。
よくあるHDDの結果になりました。HDDは円盤状になっているプラッタ上へデータを記録していきますが、1回転あたりにヘッドが通過するセクタ数が多く高速な外周部から、低速な内側に向かって書き込まれていくため、このようにデータが後の方になるにつれて速度が低下します。もちろんSSDはこのような構造にならないため、データの位置によらず読み書き速度はほぼ均一です。
4. まとめ
今回は4台構成のRAID0という構成で実験しましたが、アレイを構成するディスクのうち1台でも故障するとすべてのデータが読み書き不可能になるため、サーバのストレージ領域として使われる場面は多くはないと思います。ただし、多少の可用性低下は気にしなくてもいいという場面、たとえば一時的なデータのみを保管するキャッシュとしての利用であれば、これまでそのような用途にしばしば使われてきたRAMディスクと比較して、安価に大きな読み書き性能を得る事ができそうです。実際にストレージソフトウェアやファイルシステムにおいては、ログデバイスやキャッシュデバイスなどといった名称で高速なデバイスを利用する事で大幅にパフォーマンスが向上するものもありますが、このようなRAID0アレイを使用するのもひとつの方法だと感じました。
ネットブック SSD の x4 raid 0 がどの程度速いのかしりたくてこのサイトを訪問しました。
手持ちの VAIO SA SSD64GBx4 iCore7 w/Windows7 ultimate x64 や VMWareplayer 上の Ubuntu x64 で”Update処理”が数倍高速になっているのを体感していたので、現在ボトルネックになってる記録Mediaデバイスのこの構成例での転送レートテストデータが示されていて参考に見て、かなり感動しました。