さる10月16日~17日、高等専門学校連合会主催の「全国高等専門学校第21回プログラミングコンテスト」に、自由部門審査員として参加してきましたので、そのご紹介と報告を致します。
高専(高等専門学校)というと、最近ではNHK等でしきりに放送されるロボコンが有名ですが、ソフトウェアのコンテストも開催されており、当高専プロコンは今年21回目を数えるロボコン同様に歴史ある大会です。当社社長の田中は舞鶴高専出身で、さくらインターネットの最初のサービスは校内のサーバで構築されたという縁もあり、プロコンへのスポンサーシップに加え、私(鷲北)が審査員として参加させていただきました。
コンテスト概要
高専プロコンでは3つのテーマで作品が募集されます。
- 課題部門
「旅とコンピュータ」をテーマに作製されたプログラム - 自由部門
テーマは自由、各自の技術とアイディアを競います - 競技部門
「水瓶の恵み」-緑と水のネットワーク-と題し、ある種の陣取りゲームを同一フィールドで行うプログラムを競います
今回は自由部門の審査員をさせていただき、書類選考の予選と、本選2日間の審査員を行いました。分刻みのタイトなスケジュールで自由時間はごくごく僅かしかなく、審査員のお仕事以外ほとんど何もできませんでしたので、自由部門の作品のみご紹介させていただきます。
自由部門のご紹介
自由部門は予選を勝ち抜いた20作品のなかから、最優秀賞および優秀賞、特別賞(4つ)を選んで授与しました。
- 最優秀賞 「MINAMO STYLE -水面流」 香川高専宅間キャンパス
3Dシミュレートされた水流を仮想空間に流し込み、器に入れて遊ぶゲーム。水平に置いたマルチタッチ対応ディスプレイと、垂直のスクリーンの両方で見ながら遊ぶ。手でかき回したり、色を垂らしたり、重力や粘性を自由に変更できる。3Dコントローラを使って仮想空間にワンドを入れ、引力や斥力を与えることもできる。
インターフェースがタッチスクリーン上に統一されていてよくできていました。流体シミュレーションをどこまで自作したのかが不明でしたが、システムの完成度が高く審査員の間でも人気がありました。 - 優秀賞 「ねこみゅ~」 松江高専
自宅に残した猫の様子を監視するカメラ、首輪に装着したマイク、連絡用の通信装置(メールやiPhoneインターフェース)を備え、猫の行動を見たり記録を残したりできる。カメラはトイレの位置を確認し、猫のトイレ行動を計数できる。マイクは嘔吐などを検出し、これも記録する。レーザーポインタを用いた遊び道具も持っていて、遠隔からコマンドを与えて猫を遊ばせることもできる。
猫好きにはたまらないシステムだったようで人気がありました。個人的にはレーザーが目に入ると危ないんじゃないかと思いましたが、猫は気に入っている様子でした。 - 特別賞 「Connect Beat!」 長野高専
電子ブロックにヒントを得て、リズムやトーンを箱に見立て、ケーブルで接続することでコントロールするリズムボックス。
プレゼンテーションではリズムボックスが審査員の方々に理解されず苦戦していましたが、実物を見て楽しさが実感できました。 - 特別賞 「救急 Res:Q」 米子高専
救急車が現場に駆け付け救護を行う際に、処置を行った時刻や内容を記録する用紙を作成する。処置を行いながらの記録は困難なので、それを助けるポータブルなコンピュータ・システムがこれ。持ち運び端末としてのiPhoneの画面をタッチするだけで、処置内容と正確な時刻を記録し、計時や最終的なレポート作成をアシストする。
現場の救急隊員の方にもインタビューを重ね、改良を続ける意欲がとても気に入りました。個人的には一押しの作品です。 - 特別賞「ガリガリはんがリアン」 徳山高専
版画製作を拡張現実(AR)で実装した野心作。タブレットを版画と彫刻刀に見立て、HMDでインポーズされるAR表示を見ながら版画を作成し、インクを載せて刷ることができる。多色刷りにも対応している。
版画製作をどこまで実現しているのか、リアリティに疑問があったのですが、システムはよくできていて面白かったです。 - 特別賞 「弓道MASTER」 熊本高専熊本キャンパス
弓道のフォームの基礎として「三重十文字」に注目し、肩・腰・つまさきにつけたマーカーを頼りにフォームをチェック、リアルタイムに助言を行うシステム。
あいにく弓道について詳しくないのですが、画像上にマーカーとガイドラインをスーパーインポーズし分りやすく表示している点、的の方を見ている射手に対して音声で助言を行う配慮がよくできていました。これを使ってどの程度上達に貢献するのかが明確であれば、もっと得点できたと思います。
審査はプレゼンテーション(8分間)およびデモンストレーション(5分間)を2日間に分けて行うのですが、プレゼンテーションではよかったのに実物はイマイチだったり、逆にプレゼンテーションでは不評だったものが実物はすばらしかったり、色々な意味で裏切りがあって、とても楽しく審査することができました。
競技部門の様子
競技部門は参加高専が作成したプログラム同士の戦いで、ロボコンのような戦いがリアルタイムで展開され、とても面白い競技でした。決勝戦では1位と2位が1ポイント差で決する熱戦となり、大変盛り上がったようです。私は最後にリプレイムービーを拝見しただけですが、サーバとフィールドのグラフィックがとてもすばらしく、見るだけでも大変楽しかったです。
感想と次回のご紹介
以上、私が見てきた限りの大会の様子でした。ロボコン同様プロコンにおいても高専の学生の製作能力は非常に高く、見るべきものがたくさんありました。プレゼンやデモのレベルも非常に高く、我々も負けていられないなと強く感じました。
高専プロコンは毎年秋に実施されています。次回は岩手県一関高専がホストとなり、当地で開催される予定です。一般の見学も自由ですので、足を運ばれることをお勧めします。
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