こんにちは、さくらインターネット研究所 研究開発グループのグループリーダー菊地です。研究所ブログ記事としてはかなり久しぶりになってしまいましたが、研究所(研究開発グループ)の取り組み内容(研究テーマ)をご紹介したいと思います。
さくらインターネット研究所は現在、研究開発グループとプロダクト開発グループの2グループ体制となっておりまして、研究開発グループは、従来から引き続き、各研究員がそれぞれテーマを持って研究を推進するスタイルとなっています。研究テーマは時期で一律に区切るものではない(研究員がそれぞれ自分の考えるスパンで取り組む)のですが、年度の区切りでまとめるようにはしていて、2024年4月時点での各研究員の研究テーマは以下のようになっています。
- 超個体型データセンターの実現に関する研究 : 自律的に分散と集中のハイブリッド構造を取れるデータセンターシステムの実現
- ソフトウェアの動的適応性を実現する超個体型分散コンピューティング実行基盤
- 異種OS機能連携によるセキュアコンテナの実現
- エッジ・Fogコンピューティングに関する研究
- 量子暗号通信のクラウド・DCへの導入に関する検討
- AI for SRE(Site Reliability Engineering) : クラウドアプリケーションの障害管理のためのAI活用
- HPC環境の整備と国内外の有益データに対するライフサイクルオーケストレーションに関する研究
- 高速GPUを活用したゲノム解析ソフトウェアの性能評価
- 大規模言語モデルを用いた材料データベースの構築
- AI創薬の実現に向けた大規模言語モデルに関する研究
- 「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた研究
紙面の都合上すべてを紹介することはしませんが、概略をご紹介したいと思います。
超個体データセンターや分散コンピューティング実行基盤、セキュアコンテナ、エッジ・Fogコンピューティング、量子暗号通信などは、情報通信分野の通信レイヤやシステムソフトウェアの領域に関する研究となっており、さくらインターネットのサービスやそれを実行するインフラ構成にも関係が深い内容です。
大規模言語モデルを用いた材料データベースの構築、AI創薬、AI for SRE、ゲノム解析ソフトウェアの性能評価、などは、今大変なブームとなっており進歩も著しい機械学習やLLM(大規模言語モデル)領域に関係するテーマです。機械学習・LLMそのものや、その利用に関する研究となっています。
また、社会に開かれた教育課程の実現に向けた研究のように、上述のような自然科学・情報通信系領域とは異なる社会科学系領域についても近年は研究テーマに含むようになってきています。
すべての研究が、中長期の視点でさくらインターネットの社内外の発展に寄与することを目指したテーマとなっています。個別の研究テーマについては適切なタイミングで当研究所ブログや、その他媒体などでご紹介していきますので、ぜひご注目ください。
もう一つ、研究テーマ紹介と併せて、例年(少しづつ)更新している研究フォーカス内容およびその領域図についてもご紹介します。
研究所(研究開発グループ)では、研究フォーカス領域図というものを作っています。研究員が直接的に推進する研究テーマとは別にそれぞれ興味を持って動向等をウォッチしていく対象、いわば裏テーマのようなものを、分類して図示したものが研究フォーカス内容およびその領域図です。これらには、研究テーマで挙げているものよりもさらに長期スパンで「来そう」「面白そう」なテーマが挙げられます。
研究フォーカス領域の近年注目すべき面白そうな例をいくつかご紹介すると、宇宙通信、DNA・有機コンピュータ/ストレージ、バイオインフォマティクス、スマートシティ、インフラ領域では発電・送電などです(この取り上げ方は菊地の主観によりますので、全体についてはぜひ資料をご覧いただければと思います)。
このように研究所(研究開発グループ)では、深く、そして幅広く研究テーマを選択し推進しております。今後もその活躍にご注目・ご期待いただければ幸いです。