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3次元メッシュに対する深層学習を用いた材料物性の予測についてJSAI2022で発表しました

さくらインターネット研究所の鶴田(@tsurubee3)です。2022年6月14〜17日に国立京都国際会館とオンラインのハイブリッドで開催された2022年度 人工知能学会全国大会(第36回)にて、「3次元メッシュで表現した結晶構造を用いた材料物性の予測に向けた深層学習モデルの設計」と題した研究について発表しました。これは、マテリアルズ・インフォマティクスという材料科学と情報科学が融合した分野の研究であり、機械学習を専門とする鶴田と材料科学を専門とする桂先生、熊谷さん(@kumagallium)のコラボレーションにより生まれた研究です。
論文スライドも公開しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

3次元メッシュで表現した結晶構造を用いた材料物性の予測に向けた深層学習モデルの設計

鶴田博文1, 桂ゆかり2,3,4, 熊谷将也1,4,5 [論文]
1. さくらインターネット株式会社 2. 物質・材料研究機構 3. 東京大学 4. 理化学研究所 5. 京都大学

新規材料の研究開発の効率化を目的として、画像認識や自然言語処理などの分野で大きな成果を上げている深層学習を用いて材料物性を予測する研究が盛んに行われています。金属やセラミックなどの無機材料においては、材料内部の結晶構造が物性に大きく影響を与えることが知られているため、これまでに材料の結晶構造の情報を活用して物性予測を行う深層学習モデルが提案されています。この際、結晶構造の情報をどのように特徴量に変換し、深層学習モデルに入力するかが非常に重要となります。

現在、結晶構造は2次元のグラフで表現することが主流であり、代表的な先行手法としてCrystal Graph Convolutional Neural Networks(CGCNN)があります。CGCNNは、様々な物性において非常に高い予測精度を実現しており、現在最も実用的な手法の一つです。しかし、結晶構造は本来3次元の情報であるため、グラフに変換することで原子位置などの3次元情報を失うことになります。そのため、結晶構造の3次元情報を活用したデータの表現方法や深層学習モデルを設計することで、さらに物性予測の精度を高める余地があります。

本研究では、3次元メッシュで表現した材料の結晶構造の情報と深層学習を用いて、物性を予測する新たな手法を提案しました。メッシュは3次元形状の表現力が高いため、コンピュータビジョンなどの分野で広く利用されています。結晶構造の表現方法としてメッシュに着目し、深層学習を用いて物性予測を行った研究は我々の知る限りありません。本研究の提案手法は、メッシュというデータの表現方法の独自性だけでなく、物性予測の精度も高く、一部の物性予測においてCGCNNと同等以上の精度を実現しています。

本研究の貢献をまとめたスライドを下に示します。提案手法や評価等に関するより詳細な内容については、論文をご覧いただけますと幸いです。

本発表の質疑応答では、モデルアーキテクチャに関する質問や材料の観点からの質問など大変幅広く有意義なご質問やご意見をいただくことができました。また、発表後も我々の研究に興味を持っていただいた方からお声がけいただき、ディスカッションさせていただきました。

私自身、今回現地での口頭発表が約2年半ぶりでした。現地での発表は、聴講していただいた方々の反応や熱量を直接感じることができ、学会に現地で参加することの楽しさを改めて感じました。今回いただいた貴重なご意見を参考に、引き続き研究活動を進めていきたいと思います。

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