こんにちは、さくらインターネット研究所の菊地です。
さくらインターネット研究所では、NECと共同で4年にわたりFIWARE基盤を利用したデータ流通実証実験を実施してきました。この度、実証実験終了にあたり終了報告書をまとめましたので公開いたします。
実証実験終了報告書では、実証実験の狙い、4年間の実績(構築したシステム、可視化事例、規約、登録データ等)、実証実験を通じて得られた知見等をまとめております。スマートシティやデータ流通、その実現手段であるFIWARE等についてご興味・ご関心をお持ちの方はぜひご一読いただければと思います。
データ流通実証実験は2018年3月より開始し、NECさんの協力によりさくらのクラウド上にFIWAREのデータ流通基盤を構築し、これを実証実験参加者に対して無償で提供してきました。データの登録や公開、可視化(ダッシュボードの作成)、複数のユーザ間でのデータの流通などを自由に試していただくことができるようにしていました。
4年の実施期間の間に、トータルで74名・組織の参加がありました。また実証実験期間を通じて、様々な社内外イベント・セミナー等で講演やハンズオンを実施し、データ流通やFIWAREに関する知見の共有・普及に努めてきました。加えて、さくらインターネット自身も実証実験参加者として、トライアル的にデータを公開してきました。その中では、さくらインターネットが共同運営するスタートアップ支援施設であるFukuoka Growth Nextの環境データの登録・公開も実施してきました。
終了報告書より主要な内容を抜粋してご説明します。
実証実験の参加者はのべ74人・組織でした。2020年度から21年度になるにつれて参加者数が急増しました。スマートシティやデータ流通、FIWAREに関する関心が急激に高まってきていることを示していると考えられます。
データを公開してそれをやり取りする(そこから新たな価値を創造する)「データエコノミー」が実現されることが期待されます。データ流通実証実験ではそこに至るための環境を提供してきましたが、2022年時点ではまだ、そのような「データ流通」がなされる状況には到達していないと考えられます。
データエコノミーは、「データの利活用、データの連携(共有や交換)、そしてデータ流通(市場)」という段階を経て発展していくと考えられます(この3段階の構造(仮説)はFIWARE FOUNDATIONでも共有されているものです)。現状は、データ利活用の段階にあると考えられます。
データエコノミーへの関心は確実に高まって来ており、実証実験への引き合いも後半に至るにつれて増加しておりました。現状、データの利活用を手軽・気軽に試せる環境・ツールはまだ少ないため、実証実験がそのための手段を手広く提供していたことには大きな意義があったと考えています。
データ流通実証実験は終了しましたが、さくらインターネット研究所では今後も、データ流通やデータエコノミー実現に向けた技術・動向の調査、研究開発活動を継続していく予定です。ご期待下さい。
なお報告書はこちらから参照・ダウンロード可能です。
では。