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コンテナ技術や研究者のキャリアに関する資料公開と研究進捗

さくらインターネット研究所の松本です。Twitter上では @matsumotory / まつもとりー として活動しています。

本エントリでは、わたしが2018年11月から2019年1月にかけて登壇した内容について簡単に紹介しつつ、利用した登壇資料をまとめて公開します。

インフラエンジニアとしてのわたしの研究開発とこれから注目のコンテナ技術

11月には、エンジニア兼研究者としてやってきた自分がさくらインターネット研究所に入社した際に、インフラエンジニアとしてどのように研究開発を行ってきたか、また、これから熱くなっていくコンテナ技術で、特に注目している技術は何かについて発表しました。この段階で、gVisorやKata-Containers等に関するOCIランタイムの面白さについて熱く語っていた気がします。

FastContainerをメール基盤へ適用 – 精緻に制御可能な恒常性のある高集積マルチアカウント型のメール基盤

11月に開催された第3回Web System Architecture研究会では、汎用的なWebアプリケーションをリアクティブに起動し、状態変化を高速に行うことで、人体の細胞の恒常性のような変化に対する強さをWebシステムに適用する話のメール版について進捗報告を行いました。Web System Architectureなのに全く関係の無いメールについて熱く語り、予想外に聴衆の皆さんとメール談義で盛り上がったことが印象的でした。

まつもとりーのこれまでの研究開発と振り返り(2018年版)

12月の社内研究進捗報告会では、自分のこれまでの取り組みや実績について簡単に紹介しました。10年以上前の時系列データの変化点検出や異常検知のような研究が今に活きていたり、こうやって振り返っていくと当時は関係のないと思っていた知識や経験が後になってつながり出してより良い研究を生み出したりしており、とにかくやってみるということがいずれ創発的に質を生み出すことを実感しました。

企業に所属するエンジニアとしての社内と社外の実績の重ね方

2019年1月には、エンジニアがインターネットを介してアウトプットしていくことについて、これまで以上に一般化して考察した上で、以下に会社に所属するエンジニアが自分たちの取り組みを社外に無理なくアウトプットしていくかについて述べました。ようやく明確にアウトプットすることのメリットや、それをどのように行っていけばよいかについて、技術の抽象化という視点からも明確にまとめられたように思います。

Webアプリケーション実行環境におけるセキュリティ

2019年1月には、セキュリティイベントでWebアプリケーション実行環境のセキュリティについて、Webホスティングサービス事業者の視点から様々な取り組みやセキュリティの考え方について紹介しました。このあたりは博士論文でもまとめた内容でありながら、普遍的な内容になっているので、今後も定期的にお話していきたい内容になっています。

コードと論文で世界を変える

2019年1月最後は麻生情報ビジネス専門学校の学生の皆様にインフラエンジニアおよび研究者としてのキャリアについてお話する機会をいただきましたので、自分の内面的な性質にフォーカスしつつ、それがどのように成立して自分のスキルを押し上げていったかについてお話してみました。いつもはこういったキャリアの話はできるだけ一般化して、ある程度多くの人が参考にできるような情報にしてお伝えするのですが、自分がもし学生だったら、こういうことを知っておきたかったし、知っていれば自分の今後の活動に自信を持てたと思える内容をストレートにお話しました。ですので、ここだけの話、最後の方では色々な感情が湧き上がり、感極まってしまっていたのですが、リモート発表だったのでバレなかったかもしれません。

以上のように、2018年11月からの松本の登壇資料についてまとめて紹介しました。今後もこういったことを研究所の活動として積極的に行ってまいりますので、いつでもご相談ください。

また、論文の執筆も行っており、共著も含めると、現在公開可能な内容で以下のような研究発表を予定しています。これらについても、公開後は改めて本ブログで公開していきますのでご興味のある方はこのブログをウォッチしてくださると幸いです。

  1. 熊谷将也、松本亮介:侵入検知システムのためのグラフ構造に基づいた機械学習および可視化
  2. 松本亮介、坪内佑樹、宮下剛輔:分散型データセンターOSを目指したリアクティブ性を持つコンテナ実行基盤技術
  3. 熊谷将也、松本亮介:疎構造学習およびグラフ畳み込みニューラルネットワークによる異常検知
  4. 坪内佑樹、脇坂朝人、濱田健、松木雅幸、阿部博、松本亮介, HeteroTSDB: 異種混合キーバリューストアを用いた自動階層化のための時系列データベースアーキテクチャ第11回 インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2018)インターネットと運用技術シンポジウム2018論文集、2018、7-15 (2018-11-29)、2018年12月.

また、研究者個人としては、前職のペパボ研究所での研究も簡単に完了とはいきませんので、引き続き行っており、そちらについても以下のように幾つか論文を執筆しております。この点に関しましては、引き続き研究を協力的に続けることができており、GMOペパボさんとさくらインターネットの協力なしには実現できませんでした。心から感謝しております。

  1. 松本亮介, 近藤宇智朗:CRIUを利用したHTTPリクエスト単位でコンテナを再配置できる低コストで高速なスケジューリング手法
  2. 野村孔命、阿部博、菅野哲、力武健次、松本亮介, Webアプリケーションテストを用いたSQLクエリのホワイトリスト自動作成手法第11回 インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2018)インターネットと運用技術シンポジウム2018論文集、2018、106-113 (2018-11-29)、2018年12月.

これら以外にも、共同研究で書いた論文や、国際会議、海外の技術カンファレンスにも論文やプロポーザルを投稿中です。これらについても、もし採録されましたら詳細について紹介します。

さくらインターネット研究所は、自社プロダクトの長期的な技術的方針や取り組みを検討すべく、これからさらにグローバルな水準での正しさと広がりを追求するべく研究開発を行っていきますので、研究所や取り組み内容にご興味があるかたはいつでもわたしまでご連絡ください