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3次元結晶構造に基づく材料の物性予測についてICMLA2023で発表しました

さくらインターネット研究所の鶴田(@tsurubee3)です。2023年12月15〜17日にアメリカ合衆国フロリダ州ジャクソンビルで開催された22nd International Conference on Machine Learning and Applications (ICMLA 2023)にて、「DeepCrysTet: A Deep Learning Approach Using Tetrahedral Mesh for Predicting Properties of Crystalline Materials」と題した研究について発表しました。
この研究は、マテリアルズ・インフォマティクスと呼ばれる材料科学と情報科学の融合分野における研究です。これまでさくらインターネット研究所では、ITインフラが主な研究開発の対象分野でしたが、最近では、大学や企業と連携しながら材料科学や創薬などの自然科学分野の研究開発にも積極的に取り組んでいます。今回の研究発表は、以前のプレスリリースでもご紹介した京都大学複合原子力科学研究所と共同で取り組んだ成果です。

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さくらインターネット研究所に未踏プロダクトグループと研究開発グループを創設しました

こんにちは、主席研究員のまつもとりーです。

ここ2年間は、自分の研究を進めるのではなく、よりチームとしての成果を最大化するために、研究所の活動の意味づけをしたり組織設計を見直し働く環境や制度の整備、チームビルディングを行いながら研究所の文化醸成にも取り組んできました。2年前に様々な設計と組織への適用を行い、1年以上その取り組みを実際に実践しながら、フィードバックを受けながらブラッシュアップを行ってきました。その結果として、研究所も人が多くなってきましたし、今後も更に増えていくことが想定されます。また、取り組みの専門性も少しずつグルーピング化されてきており、常に全体で活動するのは難しくなってきました。

これまで、研究所や自分を含めて「研究開発とプロダクト開発の両輪を回すことで、相乗効果により成果のインパクトを高めていきたい」という考えで行動してきましたが、それを実際に行うためには、個人個人でそういう活動をするだけでは不十分で、組織として、制度として、そして、文化としてその考えが組織に根付いている必要があります。そのための各種取り組みが2年の実践を経て機能し始めましたので、次のステップとして、全体としての文化や雰囲気はそのままに、よりメンバー間の議論が活発に行われ、深い議論ができ、チーム内での信頼関係が深まるように、グループ化を実施しました。

それぞれ、新たに創設した「未踏プロダクトグループ」と「研究開発グループ」の目的は以下の通りです。自分たちチームが社会に対してなすべきことは何か、そのなすべき事を達成するために自分たちがどのような存在にならないといけないのか、そのために何を意識して行動するべきなのかをチームで認識を合わせ、同じ方向に進んでいくために、各チームで度重なる議論を重ねました。議論のベースにはドラッカーのMVVを採用しています。

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宮城教育大学附属小学校によるコンピュータサイエンス教育の取り組み紹介と、その意義に対する考察

さくらインターネット研究所で教育学の研究をしている朝倉です。

11月18日(金)に行われた、宮城教育大学附属小学校のコンピュータサイエンス教育実証研究公開研究会を見てきました。宮城教育大附属小学校とNPO法人みんなのコードが協力し、2020年9月からコンピュータサイエンス教育(以下CS教育)のカリキュラム開発に向けた実証研究をスタートさせてから3年目の取り組みということで、非常に楽しみにしていました。

昨今の教育(主に小学校)における新しい概念を自分なりに少し整理しつつ、この取り組みの意義について考察してみたいと思います。

プログラミング教育とCS教育は何がどう違う?

プログラミング教育とプログラミング的思考

2019年までは、小学校で新たに取り入れられる「プログラミング教育」が話題の中心でした。しかし、実は2017年に改訂された小学校学習指導要領には「プログラミング教育」という言葉の記載はなく、情報活用能力を育成するために「プログラミングを体験しながら」学習活動を行うとされています。この「プログラミングを体験しながら行う学習活動」についてわかりやすく現場の先生方に伝えるために、学習指導要領とは別に「小学校プログラミング教育の手引」が文部科学省から公開されたため、小学校の先生方には一般的に「プログラミング教育」という言葉で共通理解されています。

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価値発見に焦点化した振り返りワークショップの意義と、その教育学的分析

さくらインターネット研究所に8月から所属している朝倉です。
他の研究員とは研究分野が異なり、教育学(中でも臨床教育学)の研究をしています。
当研究所のチーム作りにおいて重要なポイントである「コラボレーション」について、上級研究員の坪内さん( @yuuk1t )による記事「リモートワークによる孤立から結束へと向かうチームビルディング」が公開されましたが、筆者はこの記事で取り上げられている「コラボ会」の振り返りを企画・実施しました。
本記事では、コラボ会振り返りワークショップの意義や、コラボレーションとの関係性について教育学的視点からご紹介します。

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リモートワークによる孤立から結束へと向かうチームビルディング

さくらインターネット研究所の坪内(@yuuk1t)です。最近は、大学院の博士課程が3年目の後半に入り、大詰めを迎えています。

さくらインターネット研究所では、研究所メンバーが地理的に分散して仕事していることと、研究所メンバーの専門性と参画プロジェクトが多様であることの2点を理由に、メンバー同士が物理的にも情報的にも孤立しやすい傾向にあります。孤立を避けるためには、特別な工夫が必要であると考え、メンバー間の結束を高め、よりよいコラボレーションを生むための施策をこの半年ほど取り組んできました。そこで、この記事では、コラボレーションを促進するための会をつくり、その会で独自に定義したコラボレーションの構造を表現する階層を提示し、その階層の基底部分の「同じ場にいる」と「互いを知る」ことに着目した施策を紹介します。これらの取り組みが、リモートワーク時代のチームビルディングの参考になれば幸いです。

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3次元メッシュに対する深層学習を用いた材料物性の予測についてJSAI2022で発表しました

さくらインターネット研究所の鶴田(@tsurubee3)です。2022年6月14〜17日に国立京都国際会館とオンラインのハイブリッドで開催された2022年度 人工知能学会全国大会(第36回)にて、「3次元メッシュで表現した結晶構造を用いた材料物性の予測に向けた深層学習モデルの設計」と題した研究について発表しました。これは、マテリアルズ・インフォマティクスという材料科学と情報科学が融合した分野の研究であり、機械学習を専門とする鶴田と材料科学を専門とする桂先生、熊谷さん(@kumagallium)のコラボレーションにより生まれた研究です。
論文スライドも公開しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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「NEC x さくらインターネット データ流通実証実験 終了報告書」 公開

こんにちは、さくらインターネット研究所の菊地です。

さくらインターネット研究所では、NECと共同で4年にわたりFIWARE基盤を利用したデータ流通実証実験を実施してきました。この度、実証実験終了にあたり終了報告書をまとめましたので公開いたします。

実証実験終了報告書では、実証実験の狙い、4年間の実績(構築したシステム、可視化事例、規約、登録データ等)、実証実験を通じて得られた知見等をまとめております。スマートシティやデータ流通、その実現手段であるFIWARE等についてご興味・ご関心をお持ちの方はぜひご一読いただければと思います。

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